今回も引き続き 『神戸ワイナリー※』編 で インタビュー (後半) です。インタビューの核心である ワイン関係者の方へのメッセージ に迫りました。
※敬称略
[目次]
- ▼コンテスト - 目標は "日本ワインコンクール" で「ベネディクシオン(赤)」の入賞
- ▼目指すワインのスタイル - 新樽比率の引き下げ - "果実感" の向上
- ▼愛好者の方はシニア世代 - 思わぬ ”干支ラベル” の人気 / ネット販売は "メディアへの露出" で好調
- ▼"家吞み" で気軽に味わって! - 課題は "認知度" の向上
- ▼ワイン関係者の方へ - ブドウは "完全に" 神戸のもの100%です!
- ▼害獣被害 - イノシシ に カラス - 畑の半分をやられるケースも
- ▼今後の抱負 - 地元でのブランディング
- ▼攻守ともに - 新商品開発 - 桃のリキュールなど
- ▼あとがき - 新時代の予感
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(...前回からの続き...)
▼コンテスト - 目標は "日本ワインコンクール" で「ベネディクシオン(赤)」の入賞
筆者 : コンテスト とか 品評会 についてはどうお考えですか? 受賞歴 も多いですよね?
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日浦さん : ウチでよく出してるのは 3つ くらい。主に 日本ワインコンクール と ジャパンワインチャレンジ と サクラアワード ですね。
でも、特に 日本ワインコンクールの受賞は少ない ので そこを獲れたら良いな!ってのはあります。そうなったら同業の方の中でも「やるじゃん!!」 って反応になるのではないかと。
筆者 : 「これで賞を狙いたい!!」というワイン はありますか?
日浦さん : やっぱり ベネディクシオン ですね。中でも ルージュ(赤) です。
昔、ブラン(白)で受賞したこともある [=2012年 - 銅賞] んですよ。白ワインの評価はどんどん上がっている ので、次は赤で受賞できるようにしたい です。
あと、新しい品種が増えてきたらブレンドして面白いのが造れる んじゃないかと。その辺りで勝負していきたいですね。
▼目指すワインのスタイル - 新樽比率の引き下げ - "果実感" の向上
筆者 : そういった 味わい というのは 今どきのスタイル を意識されますか? 樽 を効かせ過ぎないとか?
日浦さん : そういう想いもありますけどね~。いきなりガラッと変えるのは同じ商品として説明しずらくなる側面もあります。
なので、徐々に新樽比率を下げ たりだとかは少しずつ意識していますね。これまでのワインも モノによっては割合が高かった ので、もう少し低くても良いかと。
(個人的に) 樽の香りが先に来てしまうのはあまり好きではないと言いますか 全体として「果実感」を愉しんでいただけるものを造っていきたい ですね。
筆者 : どちらかというと 樽はヨーロッパ系が中心 だそうですが?
日浦さん : はい。アメリカン(オーク)はあまり使っていないですね。フレンチ(オーク)がメイン です。
▼愛好者の方はシニア世代 - 思わぬ ”干支ラベル” の人気 / ネット販売は "メディアへの露出" で好調
筆者 : 消費者の方というか どんな世代 にウケていると思いますか?
日浦さん : 年代的にはわりと高く シニア世代の方たち ですね。販売先自体もわりとご高齢の方が買われるところを取っています。
逆に、若い方が買われる場所はまだ開拓できていない という実感はあります。
最近は ネットでの販売が好調 で、ネットが若い方への販路になってきています。
筆者 : ネットで特に 人気 なのは?
日浦さん : 時期によっても違いますが メディアで取り上げていただいたモノ が一気に売れたりしますね。
ベネディクシオンであったり 白鶴さんと一緒につくった "梅ブランデー雫" は報道後にネット注文が殺到し、なんと 前年対比 が455% になりました。
筆者 : それは『となりの人間国宝』の効果ですか? 放送、面白かったそうですね~。
日浦さん : お恥ずかしいです(笑) あの時も ジュース と 新酒 が売れました。 スタジオで飲んでいただいた時に「美味しい!!」なんて言ってもらると反響が凄い ですよ。そんなにか !! ってくらいです。
あと、やっぱり 高齢の方 には お正月に干支のラベル なんかをおすすめすると、凄く喜ばれますね。若い方にクリスマスラベルってのもあるんですが全然反応が違います。
筆者 : 凄い! 何でもやってみるもん ですね (笑)
▼"家吞み" で気軽に味わって! - 課題は "認知度" の向上
筆者 : こういう感じで飲んで欲しい!って 飲み方 はありますか?
日浦さん : 相性やマリアージュもありますが、ウチで一番売れている セレクト (シリーズ) を ご家庭で気軽に飲んで欲しい という大きな希望ははありますね。
若い方 のイメージだと "ワインといえば海外" みたいなところ がある思うんです。
でも、そんな中「神戸に住んでるから、神戸ワイン飲んでみようか?」みたく 地産地消 のアイデアを持っていただけたら有難いですね。
神戸市内での認知度もまだまだ だと思いますし、高級な商品が売れて欲しいという気持ちもありますが、何よりもまず もっと多くの人達に飲んでいただきたい ですし ワイン文化が根付いて欲しい です。
▼ワイン関係者の方へ - ブドウは "完全に" 神戸のもの100%です!
筆者 : 最後に、飲食・サービス業をはじとする ワイン販売 に携わっておられる方への メッセージ があれば教えていただけませんか?
日浦さん : ウチの大前提なんですけども、神戸ワインとしては 神戸産のブドウ100% で全ての商品を造っています。そういったところって珍しいと思うんですよ。
やっぱり「よそからブドウは買ってます」だとか「海外の輸入もの使ってます」って多いんですよね。その点はウチは100%です。「地元のワイナリーで、地元のブドウだけを使ってます!」と胸を張って言える。
筆者 : そういうのは 一切無い と?
日浦さん : バルクとかも全然ないです。なんだったら 他のワイナリーさんに譲れる くらい。
(...ということなので)
お客さんの前でテイスティングする時なんかにでも「実は神戸には広大なブドウ畑があって、神戸産のブドウ100%ですよ!」ってお客さんに伝えていただけると有難い ですし 農家さんも喜ばれる と思うので。
よそからしたら 神戸でワインを造っているって意外 だと思うんですけども、そういうところに凄く こだわり があるっていうのを知っていただけたらと。
▼害獣被害 - イノシシ に カラス - 畑の半分をやられるケースも
それと「一生懸命つくっている!」のは知って欲しいです。イノシシ や カラス など 害獣被害 なんかも 大変ですよ。
夏の暑い日に出られた時なんかにはもぅ。。。中には 畑の半分くらいやられる ケースもあります。
イノシシはちょうど果実の高さに届く みたいで。下も掘られたりすると 樹のダメージ になりますし。
やはり、農家さんとしては「よく実ったね!」ってブドウを食べられるのは悔しいみたいです。捕獲用のオリ をけっこう仕掛けてはいるんですが、たまに引っかかるくらいで ほとんどが逃げられてしまう ようで。
先日、畑に行ったらトットットットっと走っているのを見ました。ここ最近被害が多い らしく、猟友会 の方々が鉄砲で撃ったりと駆除していただいてはいるものの 数も増えている ようで。
▼今後の抱負 - 地元でのブランディング
筆者 : 今後の抱負 があれば教えていただけませんか?
日浦さん : 色々ある んですが、何が良いかな~(笑)
一番広い意味では、神戸ワインとしての ブランド力(りょく) というか 地位を固める と言いますか。"あまりワインを飲まない方" や "好きじゃない方" に知ってもらいたい というのは思います。
そのためには農家さんにも頑張っていただいて、私たち造る側も "その想い" を汲み取って「どうしたら、もっと美味しくなるか?」ってのを考えていきたい。
昔は「神戸ワインって全然おいしくない!!」って言われていた時代 がありました。今でもそれを引きずっているのか、そういったご意見を聴いたりもします。
なので、そういった声をひっくり返したい ですね!! 「神戸のワインも美味しいよね」って言っていたけるよう努力していきたいです。
▼攻守ともに - 新商品開発 - 桃のリキュールなど
...といっても 味を追求する商品 と 新しい商品 との 両輪 です。よく社内的には "無茶ぶり" で「やれ!」って言われたりもします(笑)
まぁ、新しい商品は話題になる んで「美味しい!」って言っていたけたら有難いですしね。
筆者 : もしかして オレンジワイン も出来てきたりだとか?
日浦さん : 来年ですかね~。難しそう ですが。
今、大阪の方でデラウェアから造られていると聞いていますが ちょっとウチでは悩んでいるところ ですね。
そうそう、神戸市内ではブドウ以外にも 桃やイチジクなど、果実の栽培が盛んで、そういう 地元の特産物を使ったリキュール を造ってみようだとか。
あと、先日バズった ブランデーと山田錦をブレンドした商品 を出してみようだとか。
やはり 地元の公社としての使命 があるので、そういうことに取り組んだりですかね。トライアンドエラーですが。
一方で、既存の商品である ベネディクシオンなどの品質を守っていかなきゃ!! ってのもあります。
筆者 : けっこー勢いがある感じがしますが、社内で モメたり しないんですか?
日浦さん : 「こんなん出せませんわー!!」ってことも多い です(笑)「これは商品化できないです。」みたいな。「(このレベルでは) 恥ずかしいんで、やめて下さい。」ってのもありますよ。
味はともかく健康によければ って方もおられますしね。悩ましいところです。
筆者 : 会社としては どんどん新商品を出していきたい ?
日浦さん : 売れるものは売っていきたい ってのはありますね。小回りが利く ぶん、あーだこーだ言いながらやっております(笑)
筆者 : いやー、意外でした。どうしても 公社という"お堅い"イメージ があったのですが。
日浦さん : もともと大きいところで "造り方も一定で" という傾向もあったのですが、近年では徐々に "少量の仕込み" も増えて きました。
そんな中で 「チョットこんなのをやってみたい!」と言えば自由にさせてもらえる社風 があるので、そこから新しい商品も出てくるのかなぁと。
筆者 : 社内の 風通し もよさそうですね~。
日浦さん : 理事長のワインにかける想いは、誰よりアツいかもしれません (笑)
筆者 : それでは、長時間お付き合い下さり 有難うございました~。
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▼あとがき - 新時代の予感
インタビュー後は、ショップ内の試飲コーナー でじっくりと飲ませて頂きました。
ここで筆者の イチオシ を 赤・白 1本ずつご紹介しておきます!
まず 赤 は7種類のブドウ を使ったコチラ。最初のアタックは優しい飲み口かと思いきや、後からヤマブドウ特有の余韻の逞(たくま)しさ がこみ上げてくる感じ。複雑性 のある楽しいワインです。
次に 白 はコチラ。フラッグシップであるベネディクシオンとは打って変わって、樽香を抑えた シャルドネ本来の果実味、ふくよかさ、繊細さ を表現した一本。インタビューでは自信無い感じでしたが、全然今どきの美味しいシャルドネで もう看板商品これにしたら? って感じ(; ・`д・´)!!
これまでも神戸ワインさんのワインは色々と飲んできたつもりでしたが 新時代の幕開け を予感させるセンスの2本でした。今後の新商品も楽しみです☆彡
以上