今回は表題の件について、筆者が調べた軌跡です。
▼カロテンについて
▼NHK - ざんねんないきもの辞典
↓を見ていたら、ザリガニの色が赤なのは食べている藻などに含まれるカロテンによるものと知る。このシリーズ楽しいし意外に深い!!
[参照 - 3:58-4:47]
▼ソムリエ教本での記載
2021年ver - 736ページ
「山羊(やぎ)の乳にはカロテンという成分がないため、真っ白い生地が特徴」(補足 : 羊(ひつじ)・水牛も白、対して牛は黄色かったりする)...とあります。
▼そもそもカロテンとは?
単純にいえば植物が持っている黄色い色素です。これが有害な紫外線を吸収し、光合成を助け、体内での酸素の活性化をおさえて細胞を守る働きをしています。
ちなみにカロテンが黄色く見える理由は波長の短い青っぽい光を吸収しているから~↓
↑図がある↓記事が秀逸なのでお時間のある方は是非。
▼なぜ 山羊(やぎ) & 羊(ひつじ) vs 牛(うし)の乳で色が違うのか?
さらにカロテンについて付け加えておくと、↑のようにただの黄色い物質ってだけじゃなくって人が目でモノを見るため等に必要な栄養素であるビタミンAになる前の状態の前駆体(ぜんくたい)でもあります。
ハッキリとした原因は解明されていませんが、これがなぜかヤギやヒツジ、水牛では小腸で変換されてビタミンAとなって吸収され、かたやウシでは吸収されずに牛乳の成分に混ざるというわけ。
そもそも、カロテン自体が水に溶けにくく吸収するのが難しい (≒おそらく↑ザリガニの例) ってのと、生物の機能に必要の無い栄養は吸収しないという理由があるみたい。
参考 : 「カロテノイドの吸収と体内動態」 - この記事も興味深い
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nfri/publications/pdf/sousetsu/kanko_sou48/p079.pdf
▼乳牛に含まれるカロテンは昔に比べて減ってきている
北海道での乳量は半世紀の約1.5倍に増えているワリに牛に飼料に含まれるカロテンの量が絶望的に少ないみたい。
≒ つまり牛乳の栄養がスカスカになってきている。
参照 : 牧草と園芸 第62巻第4号(2014年)帯広畜産大学 畜産フィールド科学センター - 川島 千帆 「β-カロテンと繁殖との関係」- 勉強になる!!
https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/grass/grass_201407_02.pdf
※アルファルファ≒スプラウト
こちらは食用の牛の話ですが「(1)ビタミンAとは」が参考に。
栃木県畜産酪農研究センター [畜産酪農研究センターだより - 第20号]
https://www.pref.tochigi.lg.jp/g70/press_etc/documents/tayori20gou.pdf
▼その他
そうそう、バターが黄色い理由も同じね。
牛乳は白いのに、なぜバターは黄色いのか?|牛乳・乳製品・飲料|商品Q&A|コープこうべ 商品検査センター
ちなみにヤギの乳はカロテンも消化してくれているだけあってか、消化に良い & アレルギーにも良い。...で、ヤギのチーズには臭いイメージがあるが、実際にはヤギの乳がもともと臭いのではなく育てている場所・環境の臭いを吸着しやすいから。つまりヤギは悪くない♡
北畜会報 48 : 79-84, 2006 技術レポート
「ヤギ乳はヒトにやさしい - ヤギ乳と午乳の比較」
田 中 桂 一 ・ 佐 藤 響 太 - (財)北海道農業企業化研究所
https://hlgs.jp/archive/asath_48-15.pdf
↑熱いメッセージが伝わってきます!!
...と、カロテンに関してはこんなもんかと思います。
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▼アマプラ映画 - マスター・ソムリエのドキュメンタリー「ソム」ついて
アマプラのURLがこちら。2012年の作品です。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BD%E3%83%A0-Brian-McClintic/dp/B0817KG3B9
youtubeのトレーラー(予告編)はコチラ。
たまにツイッターとかで「ソム」って使う人を見るけど、海外じゃ一般的なんですかね? 当方地方の人間なので疎かったです。
あと「地名は場所が分からなければ覚える意味が無い」とか、何種類かのテイスティングを終えたあとに「全部、ただの発酵したブドウの汁だぜ」とか全く同感の名言・格言も多い。まだ見ていないOB・OGの方は試験のレベルが全然違えど懐かしい気持ちになるんじゃないかなと思います。また現役の方は5chでの雑談などリアルもネットも同じと感じることでしょう。今後ね。
とにかく、まだの方は観ておくように!!
以上