どもー。今回は雑記です。
◆関西の方へ - イベント情報
久々に更新しました。やっぱ12月は飲食は繁忙期なのかイベントが少ないですね。来年の情報はチラホラ出てきました。
筆者は協会のこのイベントに参加する予定です。テーマは「ナパワインと料理のペアリング」。会員1500円なら安い!昼間にやってもらえるのが嬉しいです。メーカーズディナーとかあっても1人でやってるから夜出れないのよね~(切実)
https://www.sommelier.jp/event/view/osaka20180118b2
◆山崎蒸留所レポート
以下、試験に関連する内容にも多少触れながらご紹介したいと思います。
最近は予約でいっぱいらしく 9月に申し込んで待つこと3か月ちょい。ようやく当日がやってきました!とりあえず来れた喜びを玄関で表現!
そもそも、山崎って大阪からめっちゃ近かったのね。「水がキレイなところ」ってので電車の路線からも外れてるイメージでしたが、京都に行く時なんかは新快速ですっ飛ばしてただけだった...( 一一;)
...で中に入るとコイツがお出迎え。
実は山崎蒸留所は赤玉ポートワインが爆発的に売れた資金で造られた蒸留所。先見の明が凄い。自分だったら1発当たったら遊んでしまいそう...。利益を次の投資に回すって大事っスね...。
11:00から見学ツアーがスタート。1日数回はやっているようです。周りを見渡すと海外の方が多い!まぁ平日は日本人あんま来れないよな...。
まずは簡単にシングルモルトウイスキー(=1つの蒸留所で造られたウイスキー)という言葉の解説から、ウイスキーの製造工程を模型で解説してくれます。分かり易い!
特に「原材料は麦と水だけです!」ってのが印象的。それを凄い設備や技術でウイスキーにしているわけか(; ・`д・´)!
ここから工場に移動して。まずはマッシュタン(糖化釜)を見学。
「アルコール発酵には糖分が必要!」なんて最近は動画でクチ酸っぱくお伝えしていますが、ここで麦のデンプン質を甘い麦汁に変えているわけです。ビールの一歩手前ですね。
で、↑の麦汁をビールに近い液体にするウォッシュバック(発酵槽)がコチラ。ここでメンテナンスしやすいステンレスタンクでなく微生物の影響を受けやすい木の桶を使う事によって個性の違うウイスキーが生まれるのだとか。
次にやっとこさ蒸留の工程です。
テレビなんかでお馴染みのオバケみたいな蒸留器(釜)がズラッと並んでます。
よく見ると蒸留器も何パターンかあって
釜にくびれをつくることによって蒸気の雑味をはじくタイプ(バルジ型)とそのままスーッと吸い込んで雑味を残すタイプ(ストレート型)ってのがあるみたいです。ここで エレガント or 荒々しい ...原酒を造り分けできる とのこと(-ω-)/
ちなみに、この蒸留室かなりアツいです。釜の温度は1000度くらいまで上がるそうな。ついでにお酒の臭いもムンムン。酒好きにはたまらないかも。やっぱビールや麦っぽい匂い(´_ゝ`)
で、さっきのオバケみたいな蒸留器からニューポットという無色透明のできたてのウイスキー※が抽出されます。こいつを樽で寝かせて熟成させると茶色になるわけです。
「ちなみに、このニューポットは試飲コーナーで100円でお飲みになれますよ~。」とガイドさんから。これは楽しみ!
※「熟成してないニューポットはウイスキーとは言えない!」というスノッブの方もおられるかもしれませんが...まぁまぁご容赦下さい( 一一;)
そして、ついに熟成室へ!
ちょっと湿って涼しい。で、木のスーッとした良い香りがします。
山登りで林とか森に踏み入った時の感じに似てるかも。
で、熟成させる樽のタイプによる違いの説明を受けます。
まず樽の大きさの違い!
実は樽の内側って焼いて焦がしてあるのですが、そこから木のエグみやヴァニラっぽい甘みなど樽の成分が溶けだすのですが...
それが樽のサイズが大きいほど中身への影響が小さくなり、逆に樽のサイズが小さいほど中身への影響が大きくなります。まぁ、これは密度の関係ですね(-ω-)/
ワインでもあまり樽感をキツくしたくない場合は大きな樽を使ったりします。ちなみにソムリエの試験ではフランス・スペイン辺りの樽のサイズを覚えましょう( `ー´)ノ
次に、樽の種類です。
アメリカンオーク樽、ミズナラ樽、ワイン樽、シェリー樽、...などがあるのですが、できあがってくるウイスキーの味や香りは以下のように変わってきます。
アメリカンオークは木のスーっとした爽やかな感じ。
ミズナラも同じくスーッとしてますがビャクダンなどより上品な香りが出ます。
「ビャクダンの香り」って分かりにくいですが「高いお線香」によくある感じ(-ω-)/
ミズナラっていうと馴染みがないですが実はドングリの木です。日本独自の樽の種類で名前の通り「水がたまりやすいナラの木」って事で西欧では樽作りには敬遠されていたのですが、日本人は技術力でこれでカバー。近年評価されてきた「オリエンタルな香りがする」と言われるジャパニーズウイスキーらしさに多大な影響を及ぼす偉大な存在(; ・`д・´)!ただ熟成されるウイスキーでは全体の1%ほどのこと。意外に少ないのね...。
ワイン樽・シェリー樽はこれらのコクや甘みが出ます。そうそうシェリー樽なんかは近年不足しているらしくマッカランなんかは現地のスペインで樽を確保しているそうです。「最近売り出し中のあっさりしたオーク樽のマッカランなんてマッカランじゃない!シェリー樽の甘ったるさこそマッカランだ!」なんて思っとりやす...(-_-メ)
そういや、海外でもミズナラを使ってウイスキーを造るのに挑戦してるみたいけど、このウイスキーなんてかなり山崎に近かったような...。やっぱ樽か(; ・`д・´)!
グレンダロウ 13年 ミズナラ・オーク・フィニッシュ アイリッシュ シングルモルト 46度 700ml (グレンダロッホ)
樽のトピックとしては最後ですが、エンジェルズ シェア(=天使の分け前)と呼ばれる樽の中でのウイスキーの量の目減りの説明を受けました。実は樽って完全に密閉されているわけではなくって微妙に空気を通します。それで年間2%くらいはコンスタントに減り続けていくわけです。
ついでに他の蒸留所のものですがエンジェルズシェアの推移をのっけておきます。25年だとなんと40%!造った当初の半分以上がなくなってしまうなんて熟成年数の長いウイスキーの有難さが実感できますね!
熟成庫の中には山崎蒸留所の創業当時の樽が飾られています。山崎で最古=日本のウイスキーで最古という事で非常に貴重なもの。さっきエンジェルズシェアの話に触れたけど、これって中身入ってるのかな?質問するの忘れてた...( ;∀;)
ちなみに...
発酵・貯蔵容器に関して樽の問題が2017年の試験に出題されています。
流し読みで学ぶ過去問のポイント - 2017年 S/WE共通 006-010 - ソムリエ・ワインエキスパート試験に絶対に合格したいアナタへ!
で、個性の違う色んな樽で熟成されたウイスキーをマスターブレンダーと呼ばれるプロが混ぜ合わせてウイスキーがめでたく誕生!...となるのですが、驚くべき事は熟成庫にある2万樽に近いウイスキーの原酒1つ1つの味や香りの個性を数人で全て把握しているとの事。10人で1人あたり最低2000樽としても、ウイスキーだけの2000種類の違いってキツイよね~( 一一;) 自分でもそこまで味を細分化できる自信は無いっス。
ついでに、ウイスキーの熟成年数はブレンドした中でも一番若い年数を表示するというルールが決まっています。例えば「12年もの」なら最低でも12年以上熟成された樽のものをブレンドして造られたって事ね( `ー´)ノ
そんな問題も過去に出題されているのでチェックしておきましょう!
流し読みで学ぶ過去問のポイント - 2017年 S/WE共通 011-015 - ソムリエ・ワインエキスパート試験に絶対に合格したいアナタへ!
やたら樽やら熟成の話が長くなってしまいましたが、案内のあるツアーの最後は試飲です。
ホワイトオーク樽だけの原酒、ワイン樽だけの原酒、あとは12年とかの年数ものではないノンヴィンテージの山崎2種類をいただきました。個人的にはワイン樽だけの原酒が非常に面白かったってかめっちゃ貴重な経験に。赤ワインのコク・甘みがウイスキーにこんなに反映されているなんて!って感じ。
ソムリエ試験でもよく見るフレーバーホイールなんかも解説スライドに登場して...
たしか元々はウイスキーの分析の為にできたらしい...こちらが元祖!
なんか、ソムリエのテイスティング(二次試験)の勉強をしている感覚に...( 一一;)
ワイン樽のさくらんぼ(チェリー)って表現は非常に的確だった!
ここまでが1000円の見学ツアー内容です(; ・`д・´)!
こんだけ学べて・飲めてめっちゃ安くないですか?お値段以上〇〇〇...
帰りにお土産を買うのにショップによります。チョコとかを爆買いしている人が多かったです。荷物としてかさばらない小さなサイズで高級感があるから土産にちょうど良いんじゃないかな。
せっかくなんで有料試飲のコーナーにも寄りました。↓バーをされてる方ならバーカウンターごと持って帰りたい気持ちになるはず(笑)
で、いただいたのがこちらの3品。最近ではありえない価格です。街場やホテルのバーで飲んだらいくらするんだろう...( 一一;)! もし来られたら25年は迷わず飲んで下さい!他にも白州や響もあったはず。ウイスキーファンなら普通に1万は使うと思う...。
個人的に一番だったのがニューポット!ここでしか飲めないという特別感や。フレッシュさがたまりません。山崎18年はホワイトオーク樽の香りが強く、25年はシェリー樽の甘ったるさが主張し過ぎていて「貴重ではあるけれど、別に山崎でなくともいいのでは?」という気が。18年目くらいまでがギリギリ ジャパニーズとしての良さが表現できているんじゃないかな~。
...と、体験してみると人気の理由がものすごーく分りました。
そりゃ数カ月待ちになるのも当然だわ!
で、自宅に帰ってから気付いたんだけど、お土産のウイスキーボンボンは地元神戸の企業モロゾフのやつでした(笑) チクショー、せっかく山崎までいったのに~( ;∀;) 淡路島の土産でも近所(神戸市内)でつくってることも多いんだけどね。〇〇せんべいとか...。
◆おまけ
読者のT様がなんと島根からソムリエ合格のご報告にご来店下さいました。お若いのに向上心あふれるところが素晴らしい!志ある若者に未来のワイン業界を引っ張ってほしいもの。これからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
毎年年末になると東京からお越しになるN様、2018年のワイン事情を振り返ります。意外に試飲会は関西の方が充実してたりするみたいです。実は恵まれてたのか...(´_ゝ`)
以上