このブログではソムリエ・ワインエキスパート試験にチャレンジされる方を対象に
「毎回、もう+プラス1点」をとれる勉強のヒントをお届けしております。
このシリーズでは 2016年度 の ソムリエ・ワインエキスパート試験 の過去問題からポイントを探っていきたいと思います。
問題013 [酒類飲料概論]
バーボンウィスキーの原料で 51%以上使われるものは?
1. トウモロコシ
2. 二条大麦
3. ライ麦
4. 小麦
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正解は...
1. トウモロコシ
アメリカのバーボン(ウイスキー)といえば「ワイルドターキー」やローラがCMをしている「ジムビーム」などが有名ですが、法律で原料にトウモロコシを51%以上含むことが義務づけられています。
実はあともう1点「熟成には内側を焦(こ)がした新樽を使わないといけない!」というルールがあるのですがソムリエ・ワインエキスパート試験で問われるのは↑の原料の比率のみです(-ω-)/
ウイスキーとは?
問題のバーボンやスコッチなど様々なウイスキーがありますが、話を大枠の概念的なものに戻して今回はそもそも「ウイスキーとは何か?」というところから始めましょう( `ー´)ノ
これは少し乱暴ですが...
「ワインを蒸留したらブランデー」
というのに対して...
「ビール(※)を蒸留したらウイスキー」
...という言い方が分かり易いかと思います。
正確にはビールに近い醪(もろみ)...というか液体ですが、これに関しては後ほど詳しくご説明しますm(_ _)m ちなみに醪(もろみ)とは「酒の原料になるもの」という意味です。
そもそも、ウイスキーの原料である麦やトウモロコシなどの穀類はブドウと違って糖分がないので酵母がアルコール発酵するコトができません。
なので、ウイスキーはまず穀類に含まれるデンプンを糖化させます。
問題のトウモロコシの他にウイスキーの代表的な原料としては、いわゆる「モルト」などと呼ばれる麦が有名です。麦であれば発芽させ、その時に発生する糖化酵素の働きによって含まれるデンプンをまず糖に変えるのです!
発芽しないトウモロコシなどの原料に対しても↑と同様に酵素のチカラをかりて糖化を行うことができます(´_ゝ`)
このデンプンが糖に変わった状態の穀類を水(お湯)に入れてかき混ぜて甘いお粥のようなものを作ります。
「お湯」というのは温度が高いと先ほどの糖化酵素がよく働くためです!
これに酵母を入れる事によって糖分をアルコール発酵し、ビールのようなウイスキーの醪(もろみ)が出来上がるのです!
↓
アルコール発酵が終わると...
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このビールみたいな液体をよく見るオバケみたいな蒸留器などで蒸留したものがウイスキーというわけです( `ー´)ノ
ウイスキーの概要の説明が終わったところで
次はウイスキーにはどんな分類があるか見てみましょう!
ウイスキーの分類
ウイスキーには大きく3つの分類があります!
1・モルトウイスキー
二条大麦だけを原料にして、単式蒸留器で2回蒸留したもの。
ここでポイントが2つ出てきました。
まず二条大麦を使う理由というのが、二条大麦にはデンプン質が多く含まれるからです!
デンプン質は糖に変わりますので...デンプン質が多い→糖が多い→アルコールに変えれる量が多い...という事になります(´_ゝ`)
次に単式蒸留器というのは、先ほどの写真の昔ながらのオバケみたいな蒸留器の事です。これで合計2回蒸留を行うのですが、1回目は先ほどのビールのような液体を、2回目は1回目に蒸留してできた液体を投入するのです!
ちなみに二条大麦が原料のモルトウイスキーの原酒だけで造られたもの(=トウモロコシなどなどを原料としたグレーンウイスキーなどとブレンドしていないもの)を ピュアモルトウイスキーと呼びます。
また、1つの蒸留所で作られるモルトウイスキーを瓶詰めしたものをシングルモルトウイスキーと呼びます。
2・グレーンウイスキー
トウモロコシなどを原料として連続式蒸留器で蒸留したもの。
ここでもポイントが2つあります。
まず連続式蒸留器というのは、単式蒸留器(の仕組み)が紀元前3500年から存在していたのに対し、これは19世紀になって発明されたものです。
先ほどの単式蒸留器は1回1回蒸留しないといけなかったのに対して、この連続式蒸留器は下の動画のように原料となる液体の醪(もろみ)を循環させて1発で蒸留を終わらせる事ができます。
これによって蒸留が画期的に便利になると「原料をケチろう( 一一;)!」という動きが出てきます。それ以前にイギリスでは18世紀からウイスキーの原料となる麦芽に高い課税がされていたので、麦芽さえ使わなければ原料費と税金をダブルでコスト削減ができるというメリットがあったのです!
日本で第三のビールができたのと同じ流れですね。結局、近々ご破算に願いましては
ということになるそうですが...(-_-メ)
ちなみに問題のバーボンは大枠で言えばグレーンウイスキーの部類に入ると筆者は思うのですがウイスキーマニアなどのスノッブ(=論客)の方は先ほどご紹介した「樽に関するルールがない!」と厳しいご意見です。
バーボンウィスキーとグレーンウィスキーの違いを教えてください。 - 大体... - Yahoo!知恵袋
3・ブレンデットウイスキー
これは先ほどの2つモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものです。
これはグレーンウイスキーが世に出だしたころ「安いのは良いんだけど、グレーンウイスキーだけでは味が物足りない(; ・`д・´)!」という理由で、以前のモルトウイスキーのしっかりしたものと混ぜるようになったというのがキッカケです。
貧乏くさい話ですね(笑)
ちなみに、ブレンデットウイスキーとして有名なのはジョニーウォーカーなどがありますが、2014年度の世界のスピリッツ売り上げランキングでは8位です。
実は注目すべきは5位になってる「オフィサーズ・チョイス」というインドウイスキーの勢いなのですが、今回はそれはさておき...( 一一;)
ジョニーウォーカーは、実は「タリスカー」や「ラガヴーリン」といった有名なスコッチをブレンドして作られているのですが興味のある方はコチラをご覧下さい。
スコッチウイスキーの入門 第四回:キーモルトとその遊び方。 | ACCETORY
スコッチ・ブレンデッド・ウイスキー銘柄一覧 | ウイスキー、ブランデーなどの通販サイト「アウトレットお酒.com」
ちなみにフェイマス・グラウスとかだと、あのマッカランが混ぜられているんですけどね~(´_ゝ`)
最後に試験的には世界の5つのウイスキーを覚えておきましょう!
世界のウイスキー
1・スコッチ
イギリスのスコットランドで生産される、麦芽にピート(=泥炭)からのスモーキーな香りを付けたものが有名です!
一部のスコッチがこの「スモーキーな味や香り」と称されるのは、このピートを燃やすことによって出るフェノール(石炭酸)が溶け出すからなのです。
では、そもそも何故こんなことをしているのかというと、このピートを燃やして麦芽を乾燥させることにより麦の成長を止める為です。でないと、せっかくできた糖分を使い果たしてしまうからなのです!
つまりピートを使う事は「香り付け」もしながら「糖分も確保する」という一石二鳥というか攻守を備えた製法と言えます(´_ゝ`)
2・アイリッシュ
↑の地図の左隣にあるイギリスのアイルランドで生産されます。基本的には先ほどのピートによる香りづけを行わないのもが多い。
ジェムソンなんて有名ですね~。
3・バーボン
復習になりますがアメリカで作られる原料の51%がトウモロコシのウイスキー。熟成には内側を焦がした新樽を使う事が法律で定められています。
ちなみに「なぜ新樽なのか?」というのに正式な答えはありませんが...1.輸送上のリスク回避、2.樽による風味付け、3.樽職人の組合への配慮 など3つ考えられるそうです。なんとなく3という気が...( 一一;)
Bourbon Barrels: Why Exactly Must They Be New? - The Whiskey Wash
4・カナディアン
ベースウイスキーと香りのあるフレーヴァードウイスキーをブレンドしたもの。
試験的にはこれだけでOKです!
5・ジャパニーズ
日本で作られるウイスキー。
説明は不要ですね(笑)
非常に長くなりましたが今回も復習しておきましょう!
練習問題
1・「ウイスキーとは何か?」大まかに説明してみて下さい。
「ワインを蒸留したら〇〇〇〇〇なのに対し、ウイスキーは...」
2・ウイスキーの原料は?
「〇や〇〇〇〇〇〇」などの〇〇
3・ウイスキーを作るプロセスは?
「穀類の〇〇〇〇を〇〇のチカラで〇〇してビールのような〇を作り〇〇する」
4・モルトウイスキーで穀類の〇〇〇〇が使われる理由は?
「〇〇〇〇が豊富に含まれているから」
5・モルトウイスキーは基本的に何回蒸留するか?
6・ピュアモルトウイスキーとは何か?
7・1つの蒸留所のモルトウイスキーを原酒として造られたウイスキーを何と呼ぶか?
8・グレーンウイスキーの原料は何か?また蒸留方法は?
9・ブレンデットウイスキーとは何か?
10・スコッチウイスキーに特徴的なスモーキーな香りを生み出すものは?
11・アイリッシュウイスキーの銘柄を1つあげよ!
12・バーボンの熟成に関するルールとは?
「内側を〇〇した〇〇を使うこと」
13・カナディアンウイスキーとは?
「〇〇ウイスキーと〇〇ウイスキーをブレンドしたもの」
今回も分からなかったらやり直しです。
内容を読み返しましょう(´_ゝ`)
おまけ動画
以前にもご紹介しましたが、お時間があれば是非...
筆者はウイスキーに関しては、このオジサンyoutuberが好きです!
今回はここまで!
次回は 共通問題[014] 酒類飲料概論 からです。