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【連載】「日本のワイン生産者」の方が(略)...『神戸ワイナリー』編 - その2:「インタビュー(前半)」


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今回は 『神戸ワイナリー』編インタビュー (前半) です。前回のような ネットで調べりゃ分かる情報は大前提 としてグイグイ質問させて頂きました☆彡 それではどーぞ。

※敬称略

 

[目次]

 

・・・

 

筆者  :  それでは本日はどうぞ宜しくお願いします。

 

▼酪農 → ワイン醸造の道へ!

まず早速ですが、醸造のお仕事 に進まれた キッカケ は?

 

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日浦さん :  少し変わった経歴 にはなりますが、当社に入ったのは中途採用でして 新卒で 最初に入社したのは牛乳などを扱う 乳業メーカー です。

 

そちらの酪農部門で 生乳の品質管理 を担当していました。現地の酪農家さんを回ったりして品質の向上と言いますか「こうやったら、もっと良い牛乳が出ますよ!」...といった提案をする業務でしたね。

 

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結局、1年半くらいやって「酪農って面白いな~。」と思ったら、現場で働きたくなってきて、次に 牛乳を搾るがわ の仕事に転職しました。千葉県にある酪農家さん です。

 

...で、そちらに勤めていたのですが (本社のある) 北海道に移転するというのを機に 地元兵庫県に戻って きました。

 

当時は「酪農じゃなくっても農業に携わりたい!」という想いがありまして、仕事を探していたら たまたま当社 (=「神戸みのりの公社」) が募集をかけているのを見つけた という経緯です。

 

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それまでは "神戸でワイン" といったイメージは全然無かったのですが「地元で、そういった産業を盛り上げたい!」 という気持ちも出てきまして入社に至りました。

 

筆者 : では、昔  あまりワインを飲まれなかった とか?

 

日浦さん : はい。恥ずかしながら ワインというよりはビール派 でした。そっちの方ばっかりで (笑)

 

(醸造関係の方は) 大学なんかも醸造学科を出られている方が多い中、私自身は農学部出身 で、そういった 醸造や発酵とは違う畑 です。

 

...というコトもありまして 入社するまでは ワインとの関わりは少く、まさに ゼロからのスタート で勉強させていただいております。

 

▼入り口は "白の甘口ワイン" → 課題の "赤" へ 

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筆者 : ...で、始められてどうでしたか? お好きなワイン が出てきたとか。

 

日浦さん : そうですねぇ。(こちらの) 仕事を始めてからワインを飲む 機会が増え ました。

 

けっこう ウチのワインって甘口がよく売れていたり もしていて色々と飲んでみたりだとか。

 

...で、「ウチは赤がチョット弱いな。。。」というのを聞いていたので、色々飲ませてもらっている内に「自分としては、こういうワインを造ってみたい!」というのも出てきたりして なんとなく(今後の)方向性が見えてきた と思います。

 

▼栽培 - "晩熟" のカベルネ・ソーヴィニョン

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筆者 : ここで話を変えて ブドウの栽培 に関しては、どのような考えをお持ちですか?

 

日浦さん : 栽培は担当の者に任せております。本来なら "栽培から勉強して醸造に" ってのが良いと思うので「もっと現場に出たい!」という気持ちはあるのですが。。。

 

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(さておき) もう 畑自体は古いもので35年くらい 経ってきてますね。

 

カベルネ・ソーヴィニョンやメルローなどを植えてますが、特に "晩熟" の カベルネ・ソーヴィニョン は 非常に難しいと感じる年もあります

 

収穫前日照不足台風 だとか。ちょうどシーズンが 9月半ば くらいからですが、秋雨 にやられちゃったりも。

 

(逆に) メルロー とか、シャルドネ なんかは、盆明け~9月にかけてなので ギリギリ間に合う んですけどね。

 

▼秘策は "シラー" や "タナ" とのブレンド

(だから) 早めに収獲できる品種。例えば シラー とか タナ とか。まだ 試験栽培 という段階で量は取れてないんですけども、先ほどの カベルネ や メルロー なんかと混ぜて200本くらいから ちょっとずつ出していきたいね! って相談しているところです。

 

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筆者 : そういや、昔 シラーのワイン 出されてましたよね?6年前くらいでしょうか。

 

日浦さん : その時は入社してないので経緯は分からないんですけども、評判が良かったので、もっとシラーを出していこう!! となっていますよ。

 

▼懐刀は "プチマンサン"

筆者 : これは楽しみ!って品種 はありますか?

 

日浦さん : でいうと プチマンサン ですかね。糖度ものって きてますし、酸もしっかりある ので、結構良いんじゃないかな?って。

 

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...といっても、まだ量も 20~30キロほど しかとれてませんが、これは面白いのができる んじゃないかって思っています。

 

・・・

en.wikipedia.org

※フランス南西地方などで生産が盛んな品種。もちろん "プチ"は「小さい」の意。⇔ ちなみに同じくマンサンの名が付く "グロマンサン" の "グロ(Gros)" は 「大きい(Large)」の意。← 試験範囲!! 

・・・

 

▼契約農家さん主導が理想

筆者 : 基本、垣根(栽培)手摘み だそうですが。何か 栽培に関しての希望 はありますか?

 

日浦さん : ウチは 基本的に契約農家さんのブドウ ですので 農家さんに主導してもらうのが理想 ですかね。

 

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▼雨除け - "レインカット" の導入

そういえば、(先ほどの話と重複しますが) 日本は全国的に収獲前に雨が降るコトが多い ので、日本海側の島根など山陰地方でよく導入されている 雨除け(=レインカット) なんかを試していきたいですね。

 

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▼契約農家(& 法人)数 - 従事者の 高齢化 / 後継ぎ問題

筆者 : ウィキペディアによると契約農家の方 は 5法人で60人くらい と書かれてましたね。

神戸ワイン - Wikipedia

 

日浦さん : はい。ですが、皆さんの 高齢化 も進んでますし 後継者問題 も大変そうで。。。その辺りも課題ではあるのですが...。

 

▼ブドウの質の向上

筆者 : ところで、最近は ブドウの品質が上がった とのことですが?

 

日浦さん : 生産者(=契約農家)の方の意識が昔より高くなってきている と感じております。

 

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通常は キロ単位でのお支払い をしておりますので、汚いものを混ぜて納品しようと思えばできるはず なのですが、神戸ワインへの熱い想い から ダメなものは事前に間引いて納品いただいています

 

農家の方も 「美味しいと言ってもらいたい!」 という気持ちなのだと思います。

    

▼北区 - 良質なシャルドネ - 看板ワイン「ベネディクシオン」への使用

筆者 : でき上がるワインに関して 北区 と 西区 のブドウの違い は?

 

日浦さん : まず、北区 は  昼夜の寒暖差 が大きく シャープな味わいのシャルドネができやすい です。年にもよりますが 平均して 良いものがとれています。

 

筆者 : 看板ワインの ベネディクシオン シリーズの白はシャルドネですよね?

 

日浦さん : はい。これも年によるのですが 北区のブドウも含まれております

 

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▼西区 - 赤 - 「セレクト」シリーズ - ブレンド比率

筆者 : 逆に 西区 はどうですか?

 

日浦さん : 西区の メルローは例年安定して良いブドウがとれていますね

 

筆者 : セレクトシリーズは カベルネ・ソーヴィニョンメルロー ですよね?

 

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日浦さん : (今年のブレンド比率は)50対50くらい になってます。

 

筆者 : その辺りって どうやって決めて いるのですか?

 

日浦さん : 一昨年前(2018) くらいまでは 結構しっかりめ で造ろうということだったのですが、今年(2020)果実感 を出していこうという感じです。軽く家吞み していただけるようなものを目指していますね。

 

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▼信濃リースリング - 畑限定 / 名前の由来

筆者 : 話は変わりますが、何か 思い入れのあるワイン はありますか?

 

日浦さん :  個人的には 神戸印路シナノリースリング でしょうか。販売しているのは やや甘め の商品になります。

 

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こちらの品種は 造っているところがまだ少ない ですし。ブドウとしても 仕上がりが軽く飲みやすい ですし。普段ワインを飲まれない方でもとっつきやすい ので気に入ってます。

 

あと、ウチが畑限定でやってるラインナップって珍しい のですが「神戸印路 シナノリースリング」は 西区の印路 "限定" なので。

 

(対して) ベネディクシオン畑限定ではないんですよね。良いブドウを選んで造っていっています。

 

筆者 : 「信濃リースリング」って何で 信濃(しなの) って言うのですか?

 

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日浦さん : リースリングシャルドネ交配品種 なんですが、それを掛け合わせたのが マンズワイン さんです。それで、あちらの地名をとって信濃。

 

ウチが分けていただいて栽培するようになりました。「神戸なのに何で信濃なの?」って質問はよく受けますよ (笑)

 

▼マンズワインでの研修 - 高級なラインナップ - 品質管理の徹底

筆者 : あの 醤油 で有名な キッコーマン が運営されているマンズワインさん?

 

日浦さん : はい。実は入社後1年くらいマンズワインさんに研修 に行かせてもらっていました。小諸(こもろ) の方です。何も分からない状態から教えていただいたので大変お世話になりました。

 

ja.wikipedia.org 

あと、あの辺りは 新しくワイン造りに挑戦される方が多い ので 個人 でされる方と、大きいところ に所属される方などの 方向性の違い を肌で感じました。凄いなって。

 

筆者 : 研修での "ご経験" が活きている と感じる時は?

 

日浦さん : まだまだこれからです。

 

(もとい) 長野ってブドウのレベルが非常に高く、高級な商品を造っているところが多い です。

 

神戸でも ベネディクシオンのような高品質のブドウを使う商品には、長野での経験が活かされてくる と思います。

 

筆者 : 神戸ワインさんはここ最近 品質管理を非常にしっかりされるようになった と聞きました。 やはり、その辺りもマンズワインさんでの研修や酪農でのご経験が活きているからでしょうか?

 

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日浦さん : 長野のマンズワインさんでは 衛生管理をとても大事にされていて、器具の衛生面などは徹底されてましたね。

 

ブドウのポテンシャルからワインはできますが、周りの環境は自分次第で変えられる ので「その辺りはちゃんとやらないといけない!」と教えていただきました。

 

▼海外 - アジア圏で好評 - 新商品 "赤ワイン樽フィニッシュ"のブランデー 

筆者 : 海外の方 や 業界的に 交流 のあるところは?

 

日浦さん : アジア圏での販売は 中国・香港・マカオ辺りで凄く好評 でお付き合いもあるのですが、ヨーロッパとのお付き合いは難しいですね。輸出のコスト面でも。

 

筆者 : 昔、発売されてた ブランデーも海外で人気 だったそうですね。もう終売というか原酒が無くなってしまったとか?

 

まだある んですよ。今度 赤ワイン樽でフィニッシュさせたブランデー を発売する予定です。ビックリするぐらい美味しいもので 華やかな香りで部屋が溢れる くらいです!

 

onlineshop.kobewinery.or.jp

 

▼売上 - 地元メインの "地産地消" - 学校給食にも

筆者 : ところで、昨年 (2019=令和元年) 売上 が3憶4千万円ほど(↓参照) だったそうですね。国内 と 海外 との比率 は?

 

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令和元年度 - 一般財団法人神戸みのりの公社事業概要

https://www.city.kobe.lg.jp/documents/9111/gaitokur010909-6_1.pdf

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日浦さん : やはり メインは国内近隣 がほとんどです。神戸市内を筆頭に大阪・関西圏が中心で 量販店さん でも扱っていただいてますよ。

  

あと、ウチは 団体さんバスツアー が多いですかね。こちらの ショップでの販売も好調 です。

 

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筆者 : (上記の) 売上で24万本の販売ですから ワイン1本あたりの平均価格 を計算すると 1500円くらい でしょうか?

 

日浦さん : 実は 加工用にパック売りをしていたり 果汁 を売っていたりしますので そういったものを含んだ数字 です。

 

そうそう、神戸市内の子供達の 学校給食用のゼリー なんかに加工して使ってもらっていますよ。

 

筆者 : 意外です。市内の小学校に通ってましたが、そういや食べてたのかも(; ・`д・´) ハッ!!

 

以上

 

(次回、インタビュー後半に続きます。)

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