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【連載】「日本のワイン生産者」の方が(略)...『木谷ワイン』編 - その2:「インタビュー(前半)」


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今回も引き続き奈良南大阪でブドウを栽培しワイナリー設立を目指されている木谷ワインさんの特集でインタビュー(前半) です。

 

醸造家を目指されたこれまでの経緯ワイン造りの思想を深掘りしました☆彡

 

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目次

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- §1 - キッカケ -

 

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▼1-1:旅行帰りに空港で飲んだ『アイスワイン』

筆者 : ワイン業界に進まれたキッカケは? 以前は銀行マンをされていたそうですね。

 

木谷さん : 旅行帰りの空港で試飲販売に出ていたドイツのベーレンアウスレーゼを飲んだコトです。凄く感動して美味しくって、甘口の貴腐っぽいやつでした。

 

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ja.wikipedia.org

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5000円くらいのワインだったんですけども、そんな高価なものは大学生でなかなか飲めないですよね。 そこからワインの奥深さを感じて...という流れです。

 

1-2:銀行マン時代の取引先が『ワイナリー』

...で、銀行に入っていつか将来は小さなビジネスを自分でやりたいなぁと思いながら。

 

筆者 : 最初から独立志望だったのですか?

 

木谷さん : 最初は数年勤めようと思っていたのですが、結局1年9ヵ月で退職しまして。

 

入って3ヵ月で某ワイナリー様が勤めていた支店の取引先でした。その当時は関西のワイナリー業界のことなんてサッパリ分からなかったのですが。。。

 

そんな流れでカタシモワイナリーさんに6月に見学に行ったら「こんなところでブドウを作ってるんや!」ってことを感じまして。

 

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カタシモワイナリー

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そこから調べるウチにはすみファームさんの本を読んだりして「個人で起業してワイン造りをされている方も日本にいるし、これは出来るんじゃないか?」というところが出発点ですね。

 

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ゼロから始めるワイナリー起業

 

 

はじめてのワイナリー はすみふぁーむの設計と計算

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1-:学生時代の研究が『糖尿病』 - 健康と運動に関心

筆者 :たしか、大学で糖尿病の研究をされてましたね?

 

木谷さん : はい。 もともと食事とか運動に興味があって畑仕事がそもそも運動だから一石二鳥やな!ってところで(笑)

 

それと、そんな生き方が自分に向いているじゃないかと考えるようになりました。単純な作業の繰り返しではあるものの、それは僕は全然苦にならないと。

 

▼1-4:ブレイクダンス - 『当意即妙』が人生・ワイン造りのテーマに

あと地面からイチからモノを作って加工して売るっていう。自己責任で全部できるところに面白みがあると言いますか、僕の生き方がそういう価値観に基づいてというのがあったので。

 

筆者 : 自己責任が好きなのですか?

 

木谷さん : 実は昔ブレイクダンスをしていて。意外って言われるんですけども。。。

 

そこでダンスバトルがあったりだとか。みんなでショーを踊ったりだとか。

 

でも、僕はショーは好きではなくって。。。というのも、みんなで力を合わせるってよりかは、逆に自分の思った通りにやりたいってのが強くあって。

 

筆者 : もしかしてウィンドミルとか回れるんですか?

※「風車」の意

 

木谷さん : はい。ウインドミルはまだ回れると思いますよ(笑)

 

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Learn How to Windmill - Complete Step by Step - Breakdance Tutorial

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...で、ダンスバトルは好きでしたね。特に1人で出ると一緒に出た人のせいにはできないし、結果がダイレクトに自分に返ってくるし。これが面白いというか自分に向いてると。

 

▼1-5:自身で納得のいくものを造りたい / 人にススメたい! 

逆にどうして銀行に入ったのか分からないです(困惑)

 

木谷さん : 可能性を広げたいってところで当時苦手なことを克服しようと思っていました。営業金融の仕事が出来るようになったりですとか。

 

その後、行員として日々の業務をする中で自分の納得できるものを売りたいという気持ちが芽生えてきました。

 

それはワインのように自分でイチから造ったモノであれば文句は無いのではないか?と。

 

▼1-6:そっと背中を押してくれたご両親

筆者 : 周囲の反対はありませんでしたか?

 

家内とはカタシモワイナリーさんで研修してから1年くらいで出会っているので、その辺りの反対は無かったですね。既にワインありきという関係性でした。

 

両親に対しても事後報告だったのですが、「まぁまぁ、やってみなさいよ!」という感じで背中を押してくれました。内心ちょっと不安やったみたいですけども有難いですね。

  

- §2 - ワインの味・楽しみ方 -

 

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▼2-1:ワイン単体で飲むのが好き 

筆者 : ところで消費者の方とかニーズは意識されたりはしますか?

 

木谷さん : 僕自身はワインを単独で飲むのが好きです。お料理に合わせてって方も沢山いらっしゃいますが不可なく溶け込めるというか気持ち良く飲んでもらえるモノが良いですね。

 

いずれにしても 楽しければOKって感じです。

 

▼2-2:日本ワインの魅力は "良い意味での水っぽさ"

 

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筆者 : 同業の方に思わることは?尊敬する方だとかライバルとして意識されている方はおられたりしますか?

 

木谷さん : 近くでワインを造っている方が少ないので皆さん凄いと思っちゃいます。

 

日本のワイナリーで好きなのはKidoワイナリーさんや小布施ワイナリーさんですね。

 

筆者 : 中でもお気に入りってあるんですか?

 

木谷さん : 特にKidoワイナリーさんのピノノワールなんかは洗練されているという印象です。

 

日本の美味しいワインの特徴って、悪い意味ではない水っぽさだと思っていてノドをスッと通る感じですかね。水だけど水じゃない。薄いって意味ではなくって。

 

▼2-3:海外で注目している造り手 アラン・カステックス

海外だと今好きなワインは仏バニュルスアラン・カステックスです。

 

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clubpassionduvin.com

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バランスがとれていて、凄い斜面で作られていて、オフフレーバーを活かしたワインもあります。

 

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オフフレーバー - Wikipedia

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2014年以降は平たんな畑になったようですが活きたワインという感じがしますね。

 

筆者 : そう感じるのは何故

 

多分ブドウの質が良くって、畑もワリと科学的なものを排除していて、かつ醸造では亜硫酸は使っていない。その辺りかなぁと思います。

 

全部が揃っていて、しかも醸造家の腕も良いという。。。

 

二コラ・ジョリークレド・セランなんかもそう感じます。

 

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www.enoteca.co.jp

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- §3 - 栽培・醸造 - 

 

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▼3-1:ワイン造りの魅力 = 試行錯誤 / 変数の多さ → コントロールしたい欲求 

筆者 : 栽培醸造に関してはどうお考えですか?

 

木谷さん : まず一生できる仕事をしたいっていので、何より楽しくないと。

 

同じ畑でも毎年気候や条件が違う中で試行錯誤をして、どんな台木 / 苗木で、どのタイミングで手入れしたか?...というのがワインになって表れます

 

微生物とか土とか変数がめちゃくちゃ多い中に身を置いてどのように法則性を自分の身をもって掴んでいくか?というのが魅力ですね。

 

あと酵母というコントロールしきれない微生物の力を借りるわけですが、仕上がりに結構ブレがあるのが好き...というか気に入っています。

 

なんか、そういった当意即妙(とういそくみょう)さとブレがあるっていうのがワイン造りの面白いところかと。昔の俳人が上手いコト即興で歌を返すっていうニュアンスですかね。

 

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dictionary.goo.ne.jp

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さっきのダンスの話とも通じるんですけども、DJが即興で音を流したりして、そこにダンサーが即興で踊ってどっちが凄いか?みたいな。

 

ワインってそれまでの経験が活きて即興になるかと思うんですが、その年の天候などにどう対処したか?というところに詰まってくるのかと。

  

筆者 : DJが畑や酵母におき変わった感じですね。やっと納得できました (笑)

 

▼3-2:美味しさを求めたら自ずとオーガニック - 大きな "振れ幅" に賭ける想い

ホームページにはオーガニック / 無農薬 / 減農薬というキーワードが並んでましたが?

 

木谷さん : それはそれでやっているんですけども、そこにこだわっているというよりかは美味しいワインを作るために必要かなと。

  

化学農薬を使うことで品質が安定するとは思うんです。イメージ的には0点から100点まであったら80点くらいを小さい幅で出せる

 

そこを有機にしていくことで60点の時もあれば100点の時もある。つまり良い時にはメッチャ良くなるという感覚でやっています。

 

何より畑の微生物とか虫とか鳥とか生き物のバランスがとれていることが大事かと思いますので。機械を入れるとによって根っこを痛めたり、はたまた微生物を潰さない...など心掛けています。

 

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とにかく今ある環境で質を上げる努力は全てやりたいと。

 

▼3-3:樹齢は正直 - ベテランの雁多尾畑

筆者 : それぞれの畑の特徴は?

 

木谷さん : ここ天理のデラウェアなんかは樹齢がけっこうあって40年以上ですね。あと斜面がキツいです。

 

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柏原(@大阪)雁多尾畑(かりんどおばた)樹齢40~50年あります。同じくデラウェアですね。

 

コチラは山手にあって、しかも東向きの斜面なんで日がすぐに落ちるんです。そうすると酸が残る。主にスパークリングなんかに使っています。

 

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ここ最近は品質の良い畑の特徴樹齢だと思ってます。いくら良い畑でも「20年くらいの葡萄やったら、まぁ悪くはないけどアソコ(≒40年超え)みたいな特徴出んのよね~。」みたいな。

 

筆者 : 樹齢ってことは地下に栄養があるってことですか?

 

木谷さん : そうですねぇ。よく言われるんですけど「雨水でつくるか? そこのミネラルでつくるか?」って。どこまで根があるか?っていうのも掘ってみないと分からないんですけど。

 

でも明らかに違いはありますね、青い時から。果汁を搾ってみて飲んでみると若い樹には無い特徴があります。

 

天理と雁多尾畑の2つは特にオススメです。

 

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▼3-4:楽しみなモンド・ブリエ  / ピノ・ノワールは樹齢に期待

筆者 : これから楽しみな品種とかあります?

 

木谷さん : モンドブリエは楽しみですね。糖度も上がる酸も残る

 

今年はマスカット香が醸し発酵した後でも消えないと思ったら消えてしまったりだとか。まぁ色んな遊び方ができる品種だなぁと。質も良さそうですし。

 

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ピノ・ノワールはしばらくは様子見ですかね。泡とかロゼを作りながらやってみよかなと思ってますけど、ちょっと封印です。樹齢が必要なのかも。

 

▼3-5:天然酵母が使えるのはシッカリと選果した自負 - 取り扱いの難しさより "伸びしろ" に期待 - 敢えてのオフ・フレーバーも視野に

 

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筆者 : 醸造に関しては?

  

木谷さん : まず、天然酵母が好きです。

 

乾燥酵母だと膨らみが無いというか真っすぐな味になるイメージです。ストレートで1つ突出しているんですけど雑味も少ないというかキレイな味になり過ぎるのかなぁと。それはそれで美味しいんですけどね。

 

逆に天然酵母だと、色んな方向に矢印が向いているというか球体になっているという感じがありまして。

 

実はブドウをかなりシッカリと選果しているので、特に酵母添加する必要が無いんですよね。

 

筆者 : えっ、そうなんですか?

 

木谷さん : はい。腐りが多いブドウを使った場合、発酵前に亜硫酸で一回殺菌してから乾燥酵母でリスタートするのが一般的です。

 

でも、シッカリと選果していればそもそも殺菌する必要が無いので皮に付着している菌(酵母)でそのままイケるわけです。

 

筆者 : へぇ~。

 

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木谷さん : あと、亜流酸も別に必要なければ入れません

  

海外のオフフレーバーを感じるワインなんかは、大量に仕込む中で敢えて腐っている果実を殺菌せずに交じらせ、天然酵母で仕上げているのでは?という仮説を立てています。

 

今のところ基本的にシッカリと腐りを取り除いていますが、意図的にそれらを残してオフフレーバーがどれくらい出るのかも試してみたいですね。

 

まぁ、基本的に醸造は難しいです。綺麗に問題なく造るのも難しいし、天然酵母でやってわざと少し汚すっても難しそう

 

酢酸なんかも完熟のブドウには出さないといけないかなぁと。出過ぎても良くないですし発酵のどのタイミングで出すか?は大事ですね。最初~中盤~終盤など色々あります。

 

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▼3-6:せっかく作ったブドウなので搾汁率を上げたい - 空気式への憧れ 

筆者 : ワイナリー設立を目指されてますがこんな設備が欲しい!ってのはあります?

 

木谷さん : 空気圧式の圧搾機ですかね~。

 

バスケット式だと搾汁率が悪い(≒低い)ですよ。この前はデラウェアで60%に満たないものがいっぱいありました。中には55%とか贅沢過ぎるやろ~ってなったり。。。

  

これが空気圧式だったら70~80%はイケます!今年初めてだったのですがせっかく作ったブドウなんで、さすがにもうちょっと使えないとキツいですね。

 

分けて仕込んでもいいですし、まだ実の付いた皮は再利用を考えてます。とにかく使い切りたい

 

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(バスケット式)


Winemaking 101: What is a basket press?

 

(空気圧式)


Della Toffola pneumatic presses for wine with central membrane

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▼3-7辛辣ながらも有難い身内の意見 エチケットは奥さん姉妹の合作

筆者 : 奥様がパティシエだそうですね。何かアドバイスがあったりしますか?

 

木谷さん : ヘコまされることばかりです(笑) 特にワインの味に関してはズバッと言ってきますよ。とはいえ貴重な意見ですからね~。もうちょいオブラートに包んでいただけると有難いのですが。。。

 

あとラベルのデザインをしてもらったりだとか。鹿のエチケットのワインなんかは家内がイラストを書いて、その後に御姉さんがブラッシュアップしてデータに仕上げてと姉妹で活躍してもらっています。

 

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筆者 : まさか合作だったとは。可愛いデザインですね~。

 

 

次回「インタビュー(後半)」に続きます。

www.takamocori.info

  

以上