引き続き丹波ワイン様の連載で、今回はインタビュー編(前半)です。
筆者:ワイン生産のお仕事につかれたキッカケは?
クロイさん:(私は) 基本的に『営業マン』と言いますか、いち『販売スタッフ』なんですけど、父親がこのビジネスをやりはじめたので。
筆者:ご家業ということですね。
クロイさん:もともと電気会社※をしていたのですが、出張でヨーロッパにいった時にワイン文化に惚れ込んで自分でワイナリーを興した!...というのが創業者(=父)の想いです。
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※ちなみに、日本人のおそらく誰もが見ているであろう誘導灯(↓)を造っている歴史ある会社です。手堅い...(; ・`д・´)!!
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...で、和食に合うワインを作りたいと。
筆者:ご家業を継がないという選択肢もあったのでは?
クロイさん:代表は現在、兄がやってまして私は4年前まで違う畑にいました。もともとワインが好きだったというのもありますが。
筆者:その4年間はどうでしたか?
クロイさん:ワインの原料であるブドウの確保が難しくなってきたというのがあります。
かなりの勢いでワイナリー(≒作り手)の数は増えているのにも関わらず、(供給される)ブドウの量はそこまで増えていない。
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これって何気にゆゆしき問題。意識の高い方は合わせて↓統計にも目を通しておこう。(面白いよ☆彡)
醸造用ぶどうの生産、流通等の実態について(中間報告)- 平成27年9月4日 - 関東農政局
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筆者:大変ですね~(汗) こちら(↑)に付随してですが、契約農家さんに対する想いは何かありますか?
クロイさん:(当社の意見に関しては...) 取りまとめて頂ている方経由でお伝えするコトはあります。それはお互いにとって...といった内容です。でも、ウチからしたらもう感謝しかないですね。
ちなみに、そう言って欲しい(≒意見して欲しい)という農家さんも中にはおられますよ。「来年のタメにも...」という感じでしょうか。
筆者:技術指導もされてますよね?
クロイさん:それはブトウの樹の仕立てであったり、病気の予防方法とかですね。
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ちなみに、クロイさんは↓コースなどでも講演されておられます。
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筆者:そうなるとオーガニックとかサステイナブル(≒持続可能な農法)的なところは?
クロイさん:ウチは完全に有機栽培とかビオとかはやっていなくって、せいぜい先ほどの酸化防腐剤無添加の『てぐみ』とかですかねぇ。
てぐみpetit 白 500ml | 京都丹波ワイン公式オンラインショップ
だた、畑には除草剤を一切使っていません。なので誘引作業※とか夏場の忙しい畑の時期にも草刈りをしないといけません。
あとは、ワインを作った後の搾りカスを "たい肥" として畑に循環させていたり、散布する農薬の量は基準値の1/3以下にしてる場合が多いです。
筆者:醸造に関してはどうですか? つくり方にポリシーがあったりだとか? 素人目線でパッと見たところ非常に効率的にされている印象です。(関連の)電気会社の精密さが出てそうと言いますか。。。
クロイさん:私も毎日醸造に関わるというコトはないのですが、長年勤めているスタッフが多いですね。
ワイン作りって年に1回のタイミング / 作業なので、ちょっとした配置スペースであったり、製造ラインの組み方であったり積み重ねてきたものは多いかもしれません。
あと、現場の皆さんが(自発的に)考えてやってるので、その結果かなぁと。
量産されているアイテムに関しては均一性のある味を造ったり。もちろんワインの中身だけでなく、キャップやボトルなどお客様に触れる箇所の形状や仕様にも "使いやすさ" を求めていきたい。
筆者:味に対してはどうでしょう?
クロイさん:特に自社畑のものに関しては、自社畑の良さが表現できるようなものにしてきたいです。特にピノ・ノワールなんかは特注のタンクがありますしね。これも長年の試行錯誤の結果といいますか。。。
※前回↓を参照のこと
【連載】「日本のワイン生産者」の方が(略)...『Tamba Wine 様』編 - その2:「見学」
そう、去年(2019年)に関しては遅霜の影響でほぼほぼ欠品ヴィンテージなんですよ。通常の1/5も作れなくって。。。 そういった自然の摂理もあります。
逆に、今年(2020年)は良かったですよ。ブドウの収穫量は過去最高で終えることができましたし品質も期待できます。
筆者:話は変わりますが、これが自慢ってのはありますか? 設備でも何でも...
クロイさん:ウチだけってワケでもないのですが、先ほどの窒素を注入できる圧搾機ですね。アレなんかは、まだ日本でも少ないと思います。
※前回↓を参照のこと
【連載】「日本のワイン生産者」の方が(略)...『Tamba Wine 様』編 - その2:「見学」
筆者:同業の方とか、業界で思われるコトはありますか? 尊敬される方などはおられますか?
クロイさん:私自身、そこまで醸造に携わっているワケではないですし、お会いした事もないのですが、現在ご活躍されている方だとメルシャンの安蔵さんですかね。
チーフ・ワインメーカー 安蔵光弘著「ボルドーでワインを造ってわかったこと (日本ワインの戦略のために)」が発売されました! | シャトー・メルシャン・クラブ
やはり、流通している日本ワインや日本人がワインに馴染んできた経緯を考えると非常に大きな存在です。
(当社で) もっと勉強しないといけないところが沢山ありますし。サニタリー(≒衛生管理)だとか、特に生産現場ですかねぇ。見習うべきところが非常に多いです。
筆者:そういったカチッとした品質管理が大切ってコトですね。
クロイさん:今はそういった技術をメルシャンさんが出し惜しみなく公開されているので、ホントに日本ワイン全体のことを考えられている方だなぁと。
筆者:なるほど~。
クロイさん:同業といった意味では、特に九州のワイナリー(↓)さんなんかは台風などの災害にも関わらず良いモノを出されているので、ウチ以上に工夫して考えておられるのではないか?...と思います。
九州 | 地域|日本のワイナリー紹介 | 日本ワイナリー協会
筆者:その辺り尊敬があるってコトですね。
クロイさん:あと、関西(大阪)のワイナリー協会はカタシモワインフード㈱の高井さんに旗を振って頂いているというのがあります。僕は"みんな仲が良い"と勝手に思っているのですが (笑)
筆者:世界のトレンドを意識されたりは?
クロイさん:あんまり意識はしてないですかね~(笑) あ、オレンジワインは今年初めて出しますよ。わりと新しいものは避けてきたのですが、コロナの影響で何か新しい事にチャレンジしようという気運になってきたというのがあります。
実は、行政 / 京丹波町からもご支援下さるとお声がけ頂きまして。「それやったら、やってみよう!」という流れに。
筆者:僕も同じ流れで、この特集をやってます。
クロイさん:それはどういった内容ですか?
筆者:地域振興の一環です。日本のワイナリーをご紹介して地産地消を促そうと。ちなみに、関西人が地元のワインを飲もうと思ったら、ざっくり1/4000の確率でしか当たらないという計算になりまして...(笑)
【連載】「日本のワイン生産者」の方がソムリエに伝えたいこと - はじめに
クロイさん:京都府だけでいくと、ワインの消費量は全国で3番目(だった)というデータもあるんですよ。まぁ、ほとんどが輸入ワインだと思いますが。
ワインの消費量の都道府県ランキング(平成27年) | 地域の入れ物
京都人は日本酒の酒蔵も多いけど、ワインも好き。もともと外国
昼は日本酒を飲んでも、夜に帰ったら「やっぱりワイン」みたくなってるのかもしれないです (笑)
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以上
(続き)